治験モニターの謝礼金|アルバイトとの違い・相場や実例・税金について
《負担軽減費》
治験モニターはアルバイトと同じように治験に参加すると負担の度合いに対し御礼(負担軽減費)が貰えます。また、検査や食事の提供を無料で受けられる点も大きなメリットと言えるでしょう。
この治験に参加することによる金銭的・精神的・時間的等の負担を軽減するために支払われる費用は負担軽減費と呼ばれています。当サイトでは一般に馴染みがある表現として《謝礼金》と呼んでいます。
目次
1.治験モニターのアルバイトとの違いについて
治験モニターはアルバイトとは異なりの謝礼金は参加時の負担を軽減するために支払われます。
その為、負担の大きさ(拘束時間や検査内容など)により金額が変動するため、参加する治験の内容をしっかりとおさえておく必要があります。
1-1.①拘束時間
治験モニターの報酬(負担軽減費)はご協力いただく時にいろいろな参加者の生活そのものに一定の制限をかけるため、設定されています。したがって、負担の度合いにより大きく違いが出るのです。
治験モニターの種類は、主に通院タイプと入院タイプの2種類に分けられます。
通院タイプはその日のうちに帰ることができます。拘束時間は検査内容により異なりますが、3時間程度の場合が多いです。
一方、入院タイプは文字通り入院を必要とするため、拘束時間も長期となることが多く、決められた時間に決められた食事を摂るなど守らなければならない規則も多くなります。
通院タイプは1通院あたりの報酬が支払われ、入院タイプは入院日数に応じた報酬がまとめて支払われます。
治験により、通院回数、入院日数が異なるので、しっかりとスケジュールや検査内容等を確認した上で治験に参加しましょう。
似たようなスケジュールでも報酬が異なるのはこれらのような理由からであることが大半です。負担軽減の観点から報酬内容に違いが出ることがあるということに留意しましょう。
1-2.②予想される副作用のリスク
投薬が必要な治験モニターの場合、薬による副作用が起こる可能性は否定できません。眠気や下痢、便秘、胃の不快感など、副作用の症状はさまざまです。
期待される効果や想定される副作用については、あらかじめ治験審査委員会が実施に問題ないと判断しています。
なお、あらかじめ想定される副作用については、担当医師によるインフォームドコンセントにより、事前に参加希望者へ説明されます。
新薬開発には、長い年月が必要です。治験の開始前には基礎研究や動物実験が繰り返し実施され、理論上はヒトに対する安全性に問題がないことが確認されています。
また、海外では既に使用されている薬も多いものです。そのため、想定される副作用を必要以上に心配する必要はありません。治験の実施施設となる病院や医療機関には医師や看護師が待機しているため、万が一副作用が生じても適切な検査や治療を受けることができます。
もし副作用に恐怖を感じた場合は、治験への参加を途中で中止することも可能です。治験への参加を中止しても不利益を受けることはありません。(最後まで治験に参加することを強制されたり、キャンセル料を求められることはありません)この場合は、それまでに協力した分の報酬(負担軽減費)が支払われるケースもあれば、支払われないケースもあるため、不安な方は事前に確認しておくと良いでしょう。
1-3.③条件や制約の多さ
自由時間の多さが魅力の治験ですが、実施期間中には生活の一部に対して制限がかかります。具体的には外出や飲酒・喫煙、他の薬の服用の禁止などです。
このような制限が多い治験は、負担が大きい治験だと言えます。
一方、年齢や体重の制限、疾患の有無など、応募条件が細かく定められている治験についても、ありますが、こちらは競争率に影響するものの負担としては大きく変わらないものかと思われます。
なお、治験の謝礼金詳細はインターネット上の応募サイトでは提示されていないこともあります。したがって、もし特定の条件が提示されている案件を見つけた場合は、あらかじめ電話やメールでより具体的な詳細を問い合わせてみると良いでしょう。
2.治験モニターで貰える謝礼金の相場と詳しい例 アルバイトと比較
入院か通院かにより多少の違いはあるものの、治験モニターの大まかな謝礼金の相場は1日あたり10,000~20,000円程度です。一方、一般的なアルバイトの新人さんなら1日あたり8,000~9,000円程度でしょうか。もちろん、治験の内容や拘束時間によって金額は大きく異なります。
ここからは、各タイプにおける治験の内容と謝礼金の具体例をご紹介します。
2-1.【通院】1回あたり7,000~10,000円
通院タイプの謝礼金は、1回あたり7,000~10,000円が相場です。実際には治験の内容や期間に応じて、次のようなケースがあります。
【例】
通院タイプの内容 | 対象者 | 期間 | 金額 |
---|---|---|---|
ドリンクの試飲 | ・健康な男女 ・20~50歳 |
1日 | 約1万円 |
健康食品の摂取 | ・健康な男女 ・25~35歳 |
2週間(通院10回) | 約12万円 |
医薬品の投与 | ・健康な男女 ・30~64歳 ・BMI20以上25未満 |
2週間(毎日通院) | 約25万円 |
このように、通院タイプの中でも、治験内容や通院日数により謝礼金の金額は大きく異なります。たとえ通院タイプであったとしても、実施期間が長く、期間中に検査が多いものであれば、入院タイプと変わらない負担にご協力いただくケースもあります。
また、通院タイプでは医薬品の投与の他に、健康食品やサプリメントのモニター、化粧品の効能確認といったような案件など、女性でも気軽に行えるものが多く見られます。
2-2.【入院】1泊あたり10,000~30,000円
入院タイプの謝礼金は、1泊あたり10,000~30,000円が相場です。通院タイプと比較して1日あたりの拘束時間が長くなることが多いです。治験内容とそれに対する金額の具体例は次のとおりです。
【例】
対象者 | 制限 | 期間 | 金額 |
---|---|---|---|
・健康な男女 ・20~35歳 |
外出可 | 2泊 | 約6万円 |
・健康な男性 ・25~55歳 ・体重55kg以上 |
外出不可 | 12泊 | 約20万円 |
・男女 ・40~75歳 ・女性は閉経後のみ |
外出不可 | 1ヶ月 | 約50万円 |
入院タイプではこのように、外出の可否などといった行動制限も、負担軽減の概念から検討されていることがわかります。
また、事前健康診断が入院日以外に設けられている場合は、その通院にかかる拘束時間や交通費を含めた謝礼金が支払われます。
2-3.知っておくべき「4ヶ月ルール」
治験モニターに申し込む方の中には、アルバイトのように、治験のみをくり返せば楽に生活できると思う人も多いようです。しかし、アルバイトと異なり、連続して治験モニターへの登録を行うことは禁止されています。
治験モニターは、一度治験を行った後の4ヶ月の空白期間を設けなくてはならないという決まりがあります。この空白期間のことを「4ヶ月ルール」と呼ぶこともあります。これは通常のアルバイトにはないルールです。
4ヶ月ルールが必要な理由は、血液などの回復を待つためと、体内に残った薬の影響を確実になくすためです。
もしも前回の治験で投与された薬の影響が体に残っていた場合、次の治験で薬の正しい効果を調べることが難しくなると言えるでしょう。
また、新薬の認可を得るための条件のひとつは、健康な成人を対象として治験を行うことです。しかし体内に薬が残っている被験者は、健康だとみなされない可能性があります。
こうした懸念やリスクを払拭するためにも、休薬期間は必ず設けなくてはなりません。
4ヶ月ルールをきちんと遵守しながら短期間で効率よく治験に参加したいのであれば、体調も含めた、都合のあった治験案件を探すことをおすすめします。
なお、治験を実施する機関は、臨床試験受託事業協会に加盟しています。
被験者の情報を含めた治験の記録はこの協会で管理されているため、休薬期間を偽って参加することはできません。最悪の場合、虚偽の申告が訴訟に発展する可能性もあるため、必ず控えておきましょう。
3.治験モニターで貰った謝礼金に対してアルバイト同様、税金は発生する?
謝礼金は正確には負担軽減費と呼ばれており、税区分上は雑所得に該当します。
雑所得は課税対象です。そのため治験で謝礼金を得た場合は、1年間に貰った金額に応じて確定申告を行わなければなりません。
しかし確定申告が必要となる金額は、給与所得者であるサラリーマンと、仕事をしていない方とで異なります。
3-1.副業として治験モニターを行う場合、アルバイトと同じ扱い?
サラリーマンなどの給与所得者が副業として治験モニターを行う場合、アルバイトと同じように、1年間(1月~12月)に治験の謝礼金として得た金額が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
なお、主となる勤務先や治験以外から給与や雑所得を貰っている場合は、総合計が20万円を超えているかどうかで判断する必要がある点にも注意しましょう。
3-2.仕事をしていない方が治験を行う場合
アルバイトを含め、給与を貰うような仕事をしていない人が治験モニターを行った場合、1年間に治験の謝礼金として得た38万円を超えるとアルバイトのように確定申告が必要になります。この38万円とは、税控除のひとつである基礎控除の金額に該当します。
なお、こうした方が所得税法上の扶養親族になっている場合、治験の謝礼金が38万円を超えると扶養からも外れるケースがあるため、注意が必要です。
謝礼金は給与収入ではないため、いわゆる103万円の壁とは別に考える必要があります。
まとめ
数ある治験モニターの中でも、人気が高い治験は長期入院治験になります。これは拘束時間が長く、条件や制約が多いという特徴があります。またアルバイトと異なり、4ヶ月ルールという条件もあるため、効率良く都合のよい治験を見つけるためには、その治験がどのような治験かをしっかりリサーチしてから参加したい治験を選ぶことが最も大切なポイントだと言えるでしょう。
そして一定の報酬以上を得た場合、確定申告を行い、納税する義務が生じます。課税の有無を差し引いたとしても、謝礼金を貰うことができる治験モニターが魅力的であることには変わりません。ここまでご紹介した内容を参考に、治験モニターをぜひ始めてみてください。