治験はアルバイト?登録~開始までの流れや内容・報酬がもらえる理由を解説
医療系のアルバイトの一つとして知られている「治験アルバイト」「治験バイト」。通院や入院で参し謝礼金という報酬を貰えるという点で、アルバイトとして時間に余裕がある方の関心が集めまっています。
しかし一般に治験アルバイト・治験バイトと言われていますが、契約を取り交わし労働に対する対価として収入を得るアルバイトとは異なっています。また具体的な内容の面からは、よく知らない方が多く、認知度の低さから「怖い」「不安」と感じる方も多いようです。
そこで今回は、治験の参加者(治験モニター)のアルバイトとの違い・メリット・デメリットや協力いただく内容など、治験モニターの基本的な知識について詳しく説明します。都合に合う治験モニターを見つけられるように、ぜひ参考にして下さい。
★【特に知ってほしいこと】治験モニターに参加いただいた方に支払われる金銭は、労働に対する対価ではなく、参加時の負担を軽減するために支払われる謝礼金です。
その為、本当はアルバイトではなく、治験に参加していただく行為自体はボランティアと言えます。
ちなみに、このような負担に対する費用がもらえるボランティアを有償ボランティア(ペイドボランティア)と呼び、特に医療・製薬業界では治験に参加していただく方のことを治験ボランティア、創薬ボランティアと呼んでいます。
しかしこれらは一般の社会ではまだ馴染みが薄い為、当サイトでは原則として治験モニターと呼ぶことにいたします。またはじめて利用されるユーザーの視点を考慮し、治験アルバイト・治験バイトと表現している箇所が一部ございます。
目次
治験モニターとは?(アルバイトとの違い)
「治験」とは、厚生労働省の承認を受けるために、医療機関や製薬会社が人間に対して新薬の効果や安全性を確認する臨床試験のことです。
そして一般に呼ばれる「治験アルバイト」「治験バイト」とは、医療・製薬業界的には治験モニター・治験ボランティア・創薬ボランティアなどと呼ばれ、主に第一相入院治験に報酬を対価として被験者に参加することを指します。
なお、治験のアルバイトという言い方をよくされていますが、治験を実施する医療機関と雇用契約を結ぶわけではありません。
そのため、費用・報酬の面からはアルバイトではなく「有償ボランティア」と呼ぶほうが正しいと言えます。支給されるお金も、正しくは報酬ではなく「負担軽減費」です。
もちろん普通のアルバイトとは違い、履歴書の内容に基づいた審査はありません。
しかし治験モニターでは開始前に健康診断を行い、年齢やBMI、健康状態を確認した上で、適格者を選ぶことが基本となっています。
1-1.治験モニターのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・報酬を受け取ることができる ・無料で健康診断を受けられる ・自由時間が設けられている ・(入院の場合)3食が無料で提供される ・(入院の場合)規則正しい生活が身につく |
・治験の期間中は運動や食事に制限がある ・投与される薬にまったく副作用がないとは言い切れない ・(入院の場合)集団生活を行う必要がある |
治験モニターのメリットのひとつは、負担軽減として支払われる謝礼金が貰える点です。これはアルバイトと同様、収入面での大きなメリットと言えます。
デメリットは治験では医師やスタッフの指導のもとで、薬の投与や血液検査を受けなければならない点です。また、入院の場合は決まった時間に食事や睡眠をとるだけでなく、外出に一定の制限がかかることもあります。
しかし、治験により定められた制限を受ける以外は、基本的に治験モニター期間中でも自由に過ごすことができます。この点がアルバイトとの大きな違いのひとつです。ちなみに空いた時間に読書や勉強、ゲームをしている方も多いです。
一方で、喫煙や飲酒が禁止されたり、運動に一定の制限がかけられたりすることは、人により大きなデメリットとなるでしょう。もし治験モニターの期間中にこのような制限を破った場合、報酬が支払われないという可能性もあるため、注意が必要です。
1-2.登録から開始までの流れ
治験モニターを始める場合は、一般的に次のような手順で進めていきます。
治験モニターの登録については、アルバイト募集サイトのように、インターネット上で募集を探すことが最も簡単です。
ただ、治験の参加者はあくまでボランティアであり、アルバイトやパートのように求人情報サイトで募集されるわけではありません。
その為、アルバイト等の求人情報サイトではなく、治験の正しい情報を扱っている治験専用募集サイトを探し、応募することが一般的です。
治験モニターでは、薬を投与するという性質上、まず登録する前に業務内容を説明する場として、事前に説明会を開催しています。
説明会では、実施される治験の概要、投薬によるリスクや注意事項、治験のスケジュール、具体的な報酬などについて説明されることが一般的です。
詳しい内容は案件により異なるため、参加者は治験モニターの経験者であるかどうかに関わらず、その都度説明会に出席する必要があります。
また、治験モニターは対象となる被験者について、健康状態や疾患の有無といった条件を厳格に定めています。そのため、治験モニターではアルバイトの面接のように、事前の健康診断を必ず受診しなければなりません。
もちろんアルバイトと同様に参加希望者の人柄も大事ですが、それ以前に治験モニターの体調が募集条件と合致しているかが非常に重要になります。そして健康診断によるチェックで問題なしと判断されれば、治験開始です。なお、この健康診断で不適格となった場合でも、協力費として交通費や報酬の一部が支払われることがあります。
なお、この健康診断での合格率は治験の内容によって大きく異なり、ほぼ全員合格するものから5人に1人くらいしか合格しない狭き門の治験モニターもございます。
1-3.治験開始前に行う検査内容について
治験前の健康診断は、説明会と併せて行われるだけではありません。治験開始(投与開始)前にも健康診断が実施されます。※一般的な入院治験の場合、入院日の翌日に投与が開始されます。
治験開始(投与開始)前の健康診断に通過しなければ、治験モニターに参加することはできません。治験モニターの場合、アルバイトでいう正式採用は1回目の投与の直前までわからないのです。
特別な疾患が無いにもかかわらず、不規則な生活や暴飲暴食、時には偶発的な風邪などの体調不良が検査結果に影響することにより、参加不可と判断されるケースもあるため注意が必要です。
2.治験の内容|タイプ別で異なるメリット・デメリット
治験モニターの内容は千差万別ですが、大きく分けると2つのタイプに分類することができます。
それぞれのタイプを並べて見てみると、治験の特徴だけではなく、メリットやデメリットに明確な違いがあることが理解できるはずです。
各タイプの違いをあらかじめ把握しておけば、自分に合った治験モニターを探しやすくなるでしょう。
2-1.治験には「通院」と「入院」の2種類のタイプがある
医療機関として病院や特定の施設が実施場所となる治験モニターには主に、「通院タイプ」と「入院タイプ」の2種類があります。
それぞれのタイプの特徴や違い、メリットやデメリットは次の通りです。※一般に知られている呼び名の治験アルバイトでは「入院タイプ」を思い浮かべる方が多いようです。
通院タイプ | 入院タイプ | |
---|---|---|
特徴 | ・決められた日に通院する | ・1日~1ヶ月程度の入院が必要 |
メリット | ・拘束時間が短い ・行動制限が比較的少ない |
・報酬が高い ・食事が無料で提供される |
デメリット | ・報酬が低い傾向にある | ・拘束時間が長い ・行動制限が比較的多い |
通院タイプの治験では、決められた日に通院して、薬の投与や検査を受けることが特徴です。
土日祝日を中心にうまく予定が調整できるならば、会社勤めのサラリーマンでも参加できます。
一方、入院タイプの治験では、まとまった日数の都合を終日確保しておかなければならないため、通院タイプよりも参加が難しくなります。
それぞれのタイプの大きな違いは、拘束時間です。
通院タイプは通院したその日のうちに帰ることができるため拘束時間は短いですが、入院タイプは文字どおり入院が必要であるため、どうしても拘束時間が長くなりがちです。
2-2.それぞれの平均報酬額と報酬の貰い方
通院タイプと入院タイプでは、貰える報酬も異なります。
報酬(負担軽減費)は負担を軽減することを目的としていますので、参加することで一般的に負担に感じる度合いに応じ設定されます。
治験モニターの報酬は、治験の内容や医療機関によって異なります。平均的な治験モニターの報酬はおおむね次のとおりです
平均報酬額(1日あたり) | |
---|---|
通院タイプ | 8,000~12,000円 |
入院タイプ | 15,000~20,000円 |
また、入院タイプでは入院後に事後検査を受けなければならない場合があります。もちろん、事後検査のための通院に対しても、報酬はきちんと支払われます。
治験モニターの報酬の貰い方は、主に治験の最終日に手渡しとなるか、もしくは銀行振り込みのどちらかです。なお、銀行振り込みの場合は支払いに1ヶ月程度かかることもあります。
※報酬の支払い方法は実施施設により異なりますので、お申込の際にご確認ください。
なお、一般的な治験では報酬の金額設定は協力いただく時間(注意を守って入院していただく期間など)や検査(採血など)などの負荷、及び他の治験での報酬を考慮して設定されています。
報酬の金額は実施治験の内容や実施施設によって異なります。詳しくは具体的な治験のお申込時に確認ください。。
3.治験参加中・参加後に身体に影響が起きた場合は?
治験は厳しいルールに従って実施されるものです。そのため、投与される薬が身体へ悪影響を及ぼすことは非常に少ないとされています。
しかし、新薬の効果や安全性の確認が治験の目的であることから、問題が発生する可能性がゼロであるとは当然言い切れません。
なるべく安心して治験モニターを受けるためにも、治験参加中に不安や恐怖を感じたときの対応や、健康障害への備えについて理解しておきましょう。
3-1.治験途中に不安や恐怖を感じた際は辞退も可能
治験モニターはあくまでボランティアであるため、治験の途中であっても基本的に辞退することが可能です。
しかし、安全面の配慮などから体調確認後でないと途中でやめることのできないケースも稀にあるため、注意しておきましょう。辞退の可否については、事前の説明会で確認できます。
医療機関では、治験による健康障害が発生した場合に備えて、医師や看護師はもちろん、治験の経験が豊富なスタッフが万全の体制をとっています。
また、治験モニターの間はできるだけリラックスして通院や入院ができるよう、さまざまな工夫を凝らしているところがほとんどです。
ゲーム機や映画のDVD、漫画を豊富に取り揃えている医療機関も少なくありません。
そのため、不安や恐怖を感じて途中で辞退する人はほとんどいません。危険な実験を強いられるようなアルバイトではないため、安心して臨みましょう。
4.都合に合う治験モニターを見つけるためには
都合に合う治験モニターを手っ取り早く探すためには、治験モニターを紹介するサイトで会員登録をすることがおすすめです。
会員登録をすれば、メールマガジンなどで優先的に治験モニターの情報を受け取れる場合があります。また、会員のみに案件ごとの詳細な情報を明示しているサイトも多いです。
なお、人気が高い治験モニターのサイトは、治験モニターの案件が多く掲載されている一方で、応募の倍率も高くすぐに定員オーバーになることもあります。
一方で、あまり知られていないようなサイトであれば案件は少ないものの、他のサイトに載っていない案件情報を得られることもあります。
治験モニターの募集情報は適宜更新されます。すぐに情報を確認するためにも、自分に適した治験モニターの募集サイトへ登録を行いましょう。
ただし、同時期に複数の治験モニターに参加することはできませんのでご注意ください。
まとめ
治験モニターで報酬が支払われる理由は、リスクの裏返しではなく、参加者の行動や生活に一定の制限(アルバイトに費やす時間を治験モニターに使うなど)をかけるためです。治験は厳格な基準に従って実施しています。万全の体制で実施される治験モニターに対して、過度に不安なイメージを抱く必要はありません。
また、治験モニターに参加するためには、普段からアルバイトをするとき以上に、健康管理に留意しておくことが大切です。
治験への参加は、将来誰でも利用できる新薬の開発に協力できる、非常に意義があるボランティアでもあります。ここまでご紹介した内容を参考に、ぜひ治験モニターに応募してみましょう。