あなたの皮膚は、未来の医療にとって計り知れない価値を秘めた「資産」です。皮膚科の臨床研究で行われる多種多様な検査は、この「皮膚の価値」を客観的に数値化し、新薬開発や病態解明に貢献するための重要なプロセスです。一般に「治験バイト」と呼ばれることもありますが、その本質は未来の健康への投資です。本記事では、皮膚科の臨床研究でどのような検査が行われ、そこから何がわかるのかを、賢い大人のあなたに判断材料として提供します。
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皮膚科臨床研究の「価値」を測る検査の全体像:あなたの皮膚が未来に貢献する意義
皮膚科学における臨床研究は、肉眼での観察に加えて、高度な工学技術を用いた数値化や、分子レベルでの分析へと進化しています。皮膚は体表面に露出しているため、比較的負担の少ない方法で検査ができることから、新しい薬の開発や病気の原因解明に向けた先進的な評価手法が次々と導入されてきました。
現代の皮膚科臨床研究では、単に病気の有無を判断するだけでなく、皮膚のバリア機能、免疫の反応、弾力性、そして目に見えない微細な構造の変化までを数値で捉え、治療効果を客観的に検証することが求められています。本記事では、皮膚科臨床研究で使われる主要な検査方法を体系的に分類し、それぞれの測定原理、それが医療にもたらす意義、そして最新の技術動向について解説します。これらの情報は、あなたが治験参加を検討する際の重要な判断材料となるでしょう。
皮膚の「状態」を数値化する物理学的測定:あなたの皮膚の「現在価値」を知る

皮膚の生理学的な特性を数値で捉えることは、臨床研究の客観性を保つ上で基礎となります。特に、皮膚の一番外側にある角層のバリア機能や水分を保つ能力は、アトピー性皮膚炎や乾燥肌、さらには光による老化の研究において欠かせない指標です。
経皮水分蒸散量:皮膚のバリア機能(うるおいが逃げる量)を客観的に評価し、知覚過敏との関連を解明
経皮水分蒸散量(けいひすいぶんじょうさんりょう)は、角層を通り抜けて体表から蒸発する水分の量を測る指標で、皮膚のバリア機能がどれだけ健全かを評価するためによく使われます。測定では、皮膚表面に専用の測定器を当てて、その内部の湿度変化をセンサーで捉えます。
この数値が高いと、角層の細胞と細胞の間にある脂質(セラミドなど)が減っていたり、細胞同士をしっかりつなぐ機能がうまく働いていなかったりすることを反映しており、外部からの刺激に敏感になっている状態を示唆します。例えば、皮膚のバリア機能を意図的に低下させた研究では、経皮水分蒸散量が高いほど、電流や痛みを感じる閾値が低下し、皮膚が過敏になることが示されています。これは、皮膚のバリア機能が損なわれると、神経が敏感になり、かゆみが起こりやすくなるメカニズムの一端を物理的に証明するものです。
角層水分量と皮膚表面のペーハー:皮膚の「潤い度」と「健康な酸性度」を測り、保湿剤の効果や微生物叢への影響を評価
角層の水分量を測るには、皮膚の電気的な特性を利用したコンダクタンス法や静電容量法が用いられます。角層は水分を多く含むほど電気が通りやすくなるため、これを数値化することで皮膚の「潤い」を客観的に評価できます。臨床研究では、新しい保湿成分の効果を判定したり、石鹸や洗浄料による皮脂の過剰な除去の影響を評価したりするために必須の項目です。
また、皮膚表面のペーハーも重要な生理学的指標です。健康な皮膚は弱酸性を保つことで、黄色ブドウ球菌などの病原菌の増殖を抑え、バリア機能を支える酵素の働きを最適な状態にしています。アトピー性皮膚炎の臨床研究では、病変のない部分でもペーハーが上昇していることと、それが皮膚の微生物のバランスに与える影響などが研究されています。
皮脂量と皮膚粘弾性:皮膚の「あぶら量」と「ハリ・弾力」を定量化し、ニキビ治療薬や抗シワ製剤の効果判定に活用
皮脂腺の活動を評価する際には、セブメーターが用いられます。この装置は、特殊なマットテープに皮脂を吸い取らせ、そのテープを透過する光の強度から皮脂量を算出します。セブメーターの利点は、皮膚の水分量に影響されずに正確に皮脂量だけを測れる点で、尋常性痤瘡(ニキビ)の治療薬や、皮脂を抑える化粧品の臨床試験で多く用いられます。
一方、皮膚の真皮の構造的な健全性を評価するためには、キュートメーターを用いた粘弾性測定が有効です。これは、プローブの先端にある開口部から皮膚を一定の陰圧で吸引し、皮膚の変位と元の状態に戻る過程を光学的に追跡する手法です。測定結果からは、即時弾性、遅延弾性、全回復などの指標が算出され、これらは加齢、光による老化、あるいはステロイド外用薬による皮膚の萎縮の状態を敏感に反映します。
これらの検査を通じて、あなたは自身の皮膚の状態を数値で客観的に把握し、治験で得られる治療効果を具体的に確認できるでしょう。
| 測定項目 | 主要な測定指標 | 測定原理 | 主な臨床研究上の意義 |
|---|---|---|---|
| 皮膚バリア機能 | 経皮水分蒸散量 | 湿度勾配法 / 拡散流計測 | 角層の完全性、知覚過敏との相関評価 |
| 角層水分保持 | コンダクタンス / 静電容量 | 電気伝導度 / 誘電率測定 | 保湿剤の有効性、乾燥性疾患の定量 |
| 皮脂分泌量 | セブメーター値 | グリーススポット測光 | 尋常性痤瘡の病態、脂漏性状態の評価 |
| 弾力性・ハリ | 弾性係数 (Rパラメーター) | 陰圧吸引・光学変位計測 | 光老化の進行、抗シワ製剤の効果判定 |
| 皮膚表面ペーハー | ペーハー値 | ガラス電極法 / 平面電極法 | 微生物のバランスとの関連、バリア機能の維持 |
| メラニン・紅斑 | メラニン指数 / 紅斑指数 | 反射吸光度法 | 色素沈着、炎症の程度、美白剤の評価 |
疾患の「進行度」を測る臨床的評価スケール:治療効果の「投資対効果」を見極める

臨床研究において、患者さんの症状を統計的に扱える数値に変換するためには、標準化された評価スケールを使うことが非常に重要です。これらのスケールは、医師の目視による判断を構造化し、複数の医療機関で得られたデータの互換性を確保する役割を果たします。
湿疹面積・重症度指標(EASIスコア):アトピー性皮膚炎の赤み、腫れ、かき傷、ごわつきを数値化し、治療改善度を評価
湿疹面積・重症度指標(EASIスコア)は、アトピー性皮膚炎の臨床試験において、皮膚の症状を評価するための主要な指標として国際的に合意されています。乾癬の評価指標である乾癬面積・重症度指標(PASIスコア)を改良して開発された経緯があり、全身を「頭頸部」「上肢」「体幹」「下肢」の4つの部位に分けて算出します。
EASIスコアの算出式は、各部位における「4つの徴候の重症度合計」に「面積スコア」と「部位別重み付け係数」を乗じる構造となっています。具体的には、以下の4つの徴候をそれぞれ0(なし)から3(重症)の4段階(0.5刻みの中間点も使用可能)で評価します。
- 紅斑:皮膚の赤みの程度
- 浸潤・丘疹:皮膚の盛り上がりや腫れ
- 掻破痕:かき壊しの痕跡
- 苔癬化:皮膚が厚くごわごわになった状態
面積スコアは、各部位の罹患面積の割合に応じて0(0%)から6(90-100%)の7段階で割り振られます。算出において重要なのは、年齢による重み付けの変化です。8歳以上の成人・小児では頭頸部の係数は0.1ですが、7歳以下の小児では頭部の比重が大きいため0.2へと調整されます。
臨床研究の主要評価項目として用いられる「EASI-75」は、治療前からEASIスコアが75%以上改善した患者さんの割合を指し、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ阻害薬の治験において、新しい薬の有効性を証明するための非常に重要な基準となっています。
乾癬面積・重症度指標(PASIスコア):紅斑、浸潤、落屑(フケ)の状態を数値化し、治療目標の達成度を検証
乾癬の臨床研究では、乾癬面積・重症度指標(PASIスコア)が長年標準的な指標として使われてきました。PASIスコアは、紅斑、浸潤、落屑(フケ)の3つの徴候を評価し、0から72点の範囲で算出されます。
近年、治療技術の向上に伴い、臨床研究の目標設定も高度化しています。以前はPASI-75(75%改善)が主要な評価項目でしたが、現在ではPASI-90(90%改善)や、さらに皮膚の症状が完全に消失した状態を指すPASI-100(完全寛解)の達成率が、新薬の優位性を検証するための指標として採用されています。PASIスコアは重症度を敏感に反映する一方で、評価者の熟練度によってスコアが変動する可能性(検者間誤差)が課題とされており、臨床研究では同じ評価者が継続して担当することが推奨されています。
脱毛症重症度指標(SALTスコア):頭部4領域の脱毛範囲を定量的に評価し、治療効果の重要な指標とする
円形脱毛症の臨床研究において、脱毛の範囲を数値で捉えるために用いられるのが脱毛症重症度指標(SALTスコア)です。SALTスコアは、1999年に提唱され、その後詳細な測定手順が定義された指標で、頭部を「頭頂部 (40%)」「右側頭部 (18%)」「左側頭部 (18%)」「後頭部 (24%)」の4つの領域に分けて評価します。
各領域における脱毛面積の割合を0%から100%で判定し、領域ごとの面積係数を乗じた合計値がSALTスコアとなります(0~100点)。臨床研究においては、SALTスコアが20以下(脱毛が全体の20%以下)の達成率が、有効性を示す重要な指標とされることが多いです。また、ヤヌスキナーゼ阻害薬などの全身治療薬の治験では、治療開始時のSALTスコアが50以上(頭部の半分以上が脱毛)の重症患者さんを対象とするなど、参加基準の明確化に寄与しています。
これらのスコアは、治験における治療効果を客観的に示す指標となり、あなたが治験を通じてどれだけ貢献し、どのような変化を期待できるかの具体的な情報を提供します。
| 評価指標 | 対象疾患 | 評価項目・構成要素 | スコア範囲 / 主要な評価項目 |
|---|---|---|---|
| 湿疹面積・重症度指標(EASI) | アトピー性皮膚炎 | 紅斑、浸潤、掻破痕、苔癬化 + 面積 | 0~72点 / 75%以上の改善 |
| 乾癬面積・重症度指標(PASI) | 乾癬 | 紅斑、浸潤、落屑 + 面積 | 0~72点 / 90%改善、または完全寛解 |
| 湿疹重症度指標(SCORAD) | アトピー性皮膚炎 | 面積、徴候(6項目)、主観的症状(かゆみ・睡眠) | 0~103点 / 最小重要差(8.7点) |
| 脱毛症重症度指標(SALT) | 円形脱毛症 | 頭部4領域の脱毛面積割合 | 0~100点 / 20点以下 |
| 医師による総合評価(IGA) | 全般 (アトピー性皮膚炎、乾癬等) | 医師による全般的な重症度印象 | 0~4点 (0:消失, 1:ほぼ消失) |
| 皮膚疾患生活の質指標(DLQI) | 皮膚疾患全般 | 患者さんの生活の質への影響 (質問票) | 0~30点 / 0-1:影響なし |
「目に見えない変化」を捉える高度画像解析技術:皮膚の「深層価値」を可視化する
皮膚科は「視覚の医学」とも呼ばれますが、近年では肉眼では見えない微細な構造や皮膚の深部の病変を可視化する画像診断技術が、臨床研究の精度を飛躍的に高めています。
反射型共焦点レーザー顕微鏡:細胞レベルで皮膚組織を観察する「バーチャル生検」で、悪性黒色腫などの診断に活用
反射型共焦点レーザー顕微鏡は、近赤外線レーザーを光源とし、皮膚組織内のケラチンやメラニンを自然な造影剤として利用して、水平方向の断層画像を取得する技術です。この顕微鏡の最大の特徴は、非常に高い解像度で、生きた皮膚の細胞レベルでの観察が可能である点にあります。
臨床研究では、悪性黒色腫(皮膚がんの一種)の診断において、色素細胞の異常な形や広がりを、皮膚を切らずに捉えるために活用されます。また、個々の組織画像を組み合わせて広範囲の「モザイク画像」を作成することで、従来の組織生検の2倍程度の低い倍率の組織像に相当する情報を得ることができます。これにより、治療の経過に伴う細胞レベルの変化を、同じ部位で繰り返し追跡することが可能となりました。
光干渉断層計とラインフィールド共焦点光干渉断層計の進化:赤外線で皮膚の垂直断面を構築し、微細な構造や毛細血管の走行をリアルタイムで可視化
光干渉断層計は、赤外線を用いた干渉法により、皮膚の垂直断面画像を構築する技術です。反射型共焦点レーザー顕微鏡と比較して解像度はやや劣るものの、約1.5ミリメートルと深く浸透するため、真皮の網状層上部までの層構造を可視化できるのが利点です 。
最新の技術では、反射型共焦点レーザー顕微鏡の高い解像度と光干渉断層計の断層把握能力を統合したラインフィールド共焦点光干渉断層計が注目されています 21。この装置は、ケラチノサイト(表皮の細胞)の配列や、表皮と真皮の境目にある微細な凹凸、さらには毛細血管の走行までもリアルタイムで「バーチャル生検」のように表示できます。臨床研究では、基底細胞がんの術前の境界診断や、疥癬、リーシュマニア症といった感染症の非侵襲診断において、高い感度と特異度が報告されています。
高周波超音波:高周波エコーで表皮から皮下組織までの深部構造を描出し、腫瘍の深達度や炎症の活動性を評価
20メガヘルツから100メガヘルツという非常に高い周波数を用いる高周波超音波は、表皮から真皮、皮下組織までの構造をミリメートル以下の精度で描出します。
臨床研究における高周波超音波の主な役割は以下の通りです。
- 皮膚腫瘍の深さ測定:悪性腫瘍の厚さ(ブレスロー厚など)を手術前に推定し、切除範囲の決定に役立ちます。
- 炎症性疾患の活動性評価:乾癬の病変部における表皮の肥厚や、真皮下層の低エコー帯の測定により、炎症の程度を数値で捉えます。
- 美容皮膚科的評価:ヒアルロン酸などのフィラー(充填剤)の注入深さの確認や、加齢による真皮の厚さの変化の測定に用いられます。
高周波超音波は、ドップラー機能を使うことで病変内の血流(微細血管画像)も評価でき、血管腫や炎症性病変の活動性を把握するための強力なツールとなっています。
これらの高度な画像解析技術は、治験の精度を大幅に向上させ、あなたは非侵襲的な方法で自身の病態を詳細に把握し、治療による微細な変化を追跡できるでしょう。
「分子レベルの変化」を捉える低侵襲検体採取とオミクス解析:未来の医療への「貢献価値」
臨床研究において病態の本質に迫るためには、画像や生理学的指標だけでなく、組織や細胞内の分子情報が必要となります。しかし、従来の「切る」生検は体への負担が大きく、特に繰り返し測定が求められる臨床試験ではハードルが高かったのが実情です。これに対し、体への負担が少ないサンプリング手法が研究の幅を広げています。
テープストリッピング:粘着テープで角層細胞を採取し、痛みの少ない方法でメッセンジャーRNAやタンパク質を解析する分子プロファイリング
テープストリッピング法は、粘着テープを皮膚に貼って剥がすことで、一番表面の角層細胞を採取する手法です。以前はバリア機能の評価(角層剥離量の測定)に限定されていましたが、現在は採取された細胞からメッセンジャーRNAやタンパク質を抽出し、網羅的な解析を行うための手段として再評価されています。
例えば、小児のアトピー性皮膚炎に関する臨床研究では、5歳未満の乳幼児から16枚のテープを使って負担なく検体を採取し、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応などでバイオマーカー(ティーエッチツー/ティーエッチトゥエンティツー関連サイトカインなど)を特定する手法が確立されています。この研究では、テープストリッピングで得られた分子指標が、従来の全組織生検の結果と非常に高い再現性で相関することが示されており、治療反応の追跡や将来の予後予測、さらには他の病気の発生予測に有用である可能性が示唆されています。これは、痛みを伴わない「液体生検」ならぬ「テープ生検」としての地位を確立しつつあります。
組織生検におけるバイオマーカーと人工知能:確定診断に加え、特定のタンパク発現や遺伝子変異を解析し、人工知能によるデジタル病理評価も進む
依然として、確定診断や複雑な病理像の解析には皮膚生検が不可欠です。臨床研究における皮膚生検の意義は、単なる形態観察にとどまらず、特定のタンパク質の現れ方(免疫染色)や遺伝子の変化の解析へと深化しています。
例えば、パーキンソン病の臨床研究では、皮膚のパンチ生検によって得られた組織内のアルファ・シヌクレインの密度を測定することで、脳神経の変性疾患の進行度や診断の補助指標とする試みがなされています。また、がん治療の分野では、特定の受容体(アックスエルなど)の発現レベルを皮膚生検検体で定義し、分子標的薬の適用を検討する研究も行われています。
最新の動向としては、デジタル化された病理組織画像に対し、人工知能(畳み込みニューラルネットワークなど)を適用することで、炎症細胞の浸潤度や細胞核の異常を自動計測する技術が開発されています。これにより、評価者の主観を排除した「デジタル病理評価」が、臨床試験の客観的な評価項目として活用され始めています。
これらの手法は、新薬開発に大きく貢献し、あなたの身体データが精密医療の実現と未来の医療に役立つ意義を提供します。
| 検体採取手法 | 体への負担 | 採取対象 | 主な解析内容 | 臨床研究での用途 |
|---|---|---|---|---|
| パンチ生検 | 高 (局所麻酔・縫合が必要) | 表皮~皮下組織 | ヘマトキシリン・エオシン染色, 免疫染色, アールエヌエーシークエンス | 確定診断, 深部炎症評価, 治験の副次項目 |
| 吸引水疱法 | 中 (水疱形成) | 表皮シート, 間質液 | タンパク質分析, 細胞培養 | 表皮内サイトカイン解析, 創傷治癒研究 |
| テープストリッピング | 低 (粘着剥離) | 角層, 表面微生物 | メッセンジャーRNAプロファイル, 脂質分析 | 小児のバイオマーカー探索, 経時的追跡 |
| 細胞診 (ツァンク試験) | 低 (擦過) | 剥離細胞 | ギムザ染色, ウイルス抗原 | 水疱性疾患, ウイルス感染症の迅速診断 |
デジタルテクノロジーとウェアラブルデバイス:日常生活における「皮膚の価値」の継続的モニタリング
臨床研究の場が診察室から患者さんの日常生活(実世界)へと広がる中、デジタルツールを用いた継続的なデータ収集が重要な役割を果たしています。
ウェアラブルセンサーによる「痒み」の客観化:加速度センサーで掻破行動を自動検知し、痒み抑制効果をデータで証明
アトピー性皮膚炎などの臨床研究における最大の課題は、主観的な症状である「かゆみ」を正確に評価することでした。これまでの研究では、視覚的アナログ尺度や数値評価尺度といった、患者さんの記憶に基づく申告に頼らざるを得ませんでした。
これに対し、近年では加速度センサーを内蔵したウェアラブルデバイス(例:「アトメイト」)を寝ている間に装着することで、無意識のうちに行われる掻破行動を自動的に検知・記録する技術が導入されています。このデジタルバイオマーカーは、かゆみの強さだけでなく、それによる睡眠効率の低下や夜中に目が覚める頻度を数値で示し、治療薬の「かゆみ抑制効果」を客観的に証明する手段となっています。
遠隔診療と人工知能画像診断の統合:スマートフォンで皮疹を撮影し、人工知能が重症度を判定。分散型臨床試験の基盤技術として期待
スマートフォンの高画質カメラと人工知能を組み合わせた画像診断支援ツールの開発も、臨床研究の新しいトレンドです。2025年には、ヨーロッパで商用利用が認められた「ダーマライザー」のように、スマートフォンで撮影した画像から悪性黒色腫を高精度に検出するツールが登場しています。
臨床試験の文脈では、患者さんが自宅で定期的に皮膚の症状を撮影し、それを人工知能が自動的に重症度を判定(湿疹面積・重症度指標スコアの推定など)することで、通院頻度を減らしつつ、より高い頻度でのデータ収集を可能にする分散型臨床試験の基盤技術として期待されています。
これらの技術は、治験参加者の通院負担を軽減し、より効率的なデータ収集に貢献することで、リアルタイムでの自己状態把握を可能にします。
臨床研究のフェーズに応じた検査・評価の戦略:あなたの「時間」を「価値」に変える投資の判断材料
新しい治療法や機器が実用化されるまでには、安全性と有効性を段階的に検証するプロセスが必要です。それぞれのフェーズにおいて、検査の目的と選択される手法は異なります。
早期フェーズ(第1相/第2相)における探索的評価:安全性の確認と概念検証
第1相試験は、少数の健康な方を対象に、新しい薬の安全性と適切な用量範囲を決めることを主な目的とします。皮膚科特有の検査としては、薬を1回または繰り返し塗布した際の局所的な刺激性評価や、外用薬が血液中にどれだけ移行するかを確認する薬物動態試験が重要です。ここでは、経皮水分蒸散量計を用いたバリア機能への影響評価や、光線テストを用いた光毒性の有無などが確認されます。
第2相試験では、特定の疾患を持つ患者さん(100~300名程度)を対象に、治療効果(概念検証)を探ります。この段階では、前述の湿疹面積・重症度指標、乾癬面積・重症度指標、脱毛症重症度指標といった主要な評価スケールに加え、画像診断やテープストリッピングによるバイオマーカーの変化が副次的な評価項目として積極的に組み込まれ、薬の作用メカニズムが検証されます 9。
後期フェーズ(第3相)と製造販売後(第4相)における大規模検証:有効性の確定と実臨床での価値評価
第3相試験は、数百人から数千人を対象とした複数の医療機関が協力して行う研究で、統計的な有意性をもって有効性を確定させます。ここでは評価の「標準化」が最優先課題となるため、標準化された写真撮影手順や、中央判定システム(第三者の専門医による一括評価)が多用されます。
承認後の第4相試験(製造販売後調査)では、より多様な患者さんの背景(年齢、性別、合併症など)における長期的な安全性や、生活の質の改善、さらには他の薬との比較試験などが行われます。ここでは皮膚疾患生活の質指標のような患者報告アウトカムが、実際の医療現場での価値を証明するための重要なデータとなります。
皮膚科臨床研究における検査・評価手法の進化は、あなたの皮膚の「現在」と「未来」の価値を多角的に測るものです。これらの検査から得られるデータは、新薬開発の重要な判断材料となり、未来の健康に貢献します。治験参加は、単なる「負担軽減費」以上の「社会貢献」と「自己理解」の機会です。治験ネットで、あなたの「時間」を「価値」に変える皮膚科臨床研究を探してみてください。
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参考・出典
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- 化粧品を塗布した皮膚のバリア機能の評価(TEWL、角層水分量) – SUSCARE https://suscare.iri-tokyo.jp/upfile/%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%E3%82%92%E5%A1%97%E5%B8%83%E3%81%97%E3%81%9F%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%EF%BC%88TEWL%E3%80%81%E8%A7%92%E5%B1%A4%E6%B0%B4%E5%88%86%E9%87%8F%EF%BC%89.pdf
- 皮膚バリア機能と皮膚知覚との関係から考える効果的なスキンケアの検討 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K10233/
- 皮膚の皮脂分析システム – Sebumeter® SM 815 – Courage + Khazaka Electronic https://www.medicalexpo.com/ja/prod/courage-khazaka-electronic/product-118318-795663.html
- Sebumeter SM815セブメーター 油分測定[プローブ] – 株式会社インテグラル https://www.integralcorp.jp/skin/products/sebumeter-sm815/
- Cutometer CT580-2・4・6・8 – 株式会社インテグラル https://www.integralcorp.jp/skin/products/cutometer-ct580-2468/
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- What Is A Dermatology Clinical Trial? https://www.sanovadermatology.com/medications/what-is-a-dermatology-clinical-trial/
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