治験協力費はなぜ確定申告が必要?
「治験バイト」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。正式には負担軽減費とか治験協力費と呼ばれるこのお金、確定申告は必要なのでしょうか?税金について不安を感じていませんか?この記事では、税理士監修のもと、負担軽減費(協力費)の確定申告についてわかりやすく解説します。
治験に参加することで得られる協力費は、原則として「雑所得」に分類されます。これは、所得税法で定められた所得の種類の一つです。雑所得は、給与所得や事業所得など、他の所得区分に当てはまらないものを指します。
なぜ治験協力費が雑所得になるのでしょうか?
それは、治験参加と医療機関や製薬会社との間に雇用関係がないためです。アルバイトのように雇用契約を結んで働くわけではないので、給与所得にはなりません。また、宝くじの当選金のような一時的な収入とも性質が異なるため、一時所得にも該当しません。
したがって、負担軽減費(協力費)は雑所得として扱われ、確定申告の対象となる場合があります。
雑所得とは?計算方法をわかりやすく解説

確定申告が必要かどうかを判断するために、まず雑所得の計算方法を理解しましょう。
雑所得は、以下の計算式で算出されます。
雑所得 = 収入金額 - 必要経費
収入金額は、治験に参加して得た協力費の合計額です。必要経費は、その収入を得るために直接かかった費用のことです。
必要経費として認められるもの
治験に参加するためにかかった費用の中で、以下のものが一般的に必要経費として認められます。
- 交通費:治験施設までの往復の交通費(電車代、バス代など)
- 宿泊費:宿泊を伴う治験の場合の宿泊費
- 書籍代:治験に関する情報を得るために購入した書籍代
ただし、これらの費用がすべて認められるわけではありません。あくまでも、治験に参加するために「直接」必要だった費用に限られます。また、領収書や明細書など、費用の証明となるものを保管しておく必要があります。
雑所得の金額がいくらなら確定申告が必要?
確定申告が必要になるかどうかは、あなたの状況によって異なります。
- 給与所得がある場合:給与所得以外の所得(雑所得を含む)の合計額が20万円を超える場合、確定申告が必要です。
- 給与所得がない場合:雑所得の金額が48万円を超える場合、確定申告が必要です。これは、基礎控除と呼ばれる所得控除の金額が48万円であるためです。
治験協力費の確定申告:具体的な手順

確定申告が必要な場合、以下の手順で手続きを行います。
- 必要書類の準備
- 確定申告書:税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードできます。
- 源泉徴収票:給与所得がある場合は、勤務先から発行される源泉徴収票が必要です。
- 支払調書:治験施設から支払われた協力費の支払調書(源泉徴収票のようなもの)があれば、参考にします。ない場合は、自分で協力費の金額を把握しておく必要があります。
- 必要経費の領収書:交通費や宿泊費など、必要経費として計上する費用の領収書や明細書を準備します。
- 確定申告書の作成
確定申告書に、所得金額や所得控除、税額などを記入します。国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで、簡単に確定申告書を作成できます。
- 確定申告書の提出
作成した確定申告書を、税務署に提出します。提出方法は、以下の3つがあります。
- 税務署に持参する
- 郵送する
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用する
e-Taxを利用すると、自宅からインターネットで確定申告ができます。ただし、事前にマイナンバーカードの取得や、ICカードリーダライタの準備が必要です。
- 納税
確定申告の結果、所得税を納める必要がある場合は、期限までに納税します。納税方法は、以下のものがあります。
- 金融機関の窓口で納付する
- クレジットカードで納付する
- コンビニエンスストアで納付する
- e-Taxを利用して電子納税する
確定申告で損をしないための注意点
確定申告を行う際には、以下の点に注意することで、損をすることを防ぎ、節税につながる可能性があります。
- 必要経費は漏れなく計上する
治験に参加するためにかかった費用は、できる限り漏れなく必要経費として計上しましょう。交通費や宿泊費だけでなく、治験に関する情報を得るために購入した書籍代なども、必要経費として認められる場合があります。
- 所得控除を最大限に活用する
確定申告では、所得控除と呼ばれる制度を利用することで、所得金額を減らし、税金を安くすることができます。医療費控除や生命保険料控除など、利用できる控除制度がないか確認しましょう。
- 税務署や税理士に相談する
確定申告についてわからないことや不安なことがあれば、税務署の相談窓口や税理士に相談することをおすすめします。税務署では、確定申告書の書き方や必要書類について教えてもらえます。税理士に依頼すれば、確定申告の手続きを代行してもらうことも可能です。
税理士に相談するメリットとデメリット
確定申告の手続きを税理士に依頼することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 時間と手間を省ける:確定申告の手続きは、慣れていないと時間と手間がかかります。税理士に依頼すれば、これらの負担を軽減できます。
- 税務上のアドバイスを受けられる:税理士は、税務に関する専門家です。確定申告に関するアドバイスや、節税につながる情報を提供してくれます。
- 税務調査に対応してもらえる:税務署から税務調査が入った場合、税理士が対応してくれます。税務調査に慣れていない場合は、税理士に依頼することで安心して対応できます。
デメリット
- 費用がかかる:税理士に依頼するには、費用がかかります。確定申告の代行費用は、所得金額や依頼内容によって異なります。
税理士に相談するかどうかは、確定申告の複雑さや、ご自身の状況によって判断しましょう。確定申告に慣れていない場合や、税務上の知識に自信がない場合は、税理士に相談することを検討してみるとよいでしょう。
国立病院機構が令和6年4月以降に締結する治験契約において、協力費の請求を「外税方式」へ変更したことはご存知でしょうか。これは、被験者が受け取る金額自体に直接の影響はないものの、協力費が「対価性のある取引」であることを税務・会計上の観点から再定義した動きとして注目されます。
確定申告は、正しく理解すれば決して難しいものではありません。この記事を参考に、正確な申告を行い、税金に関する不安を解消しましょう。
参考・出典
- 国税庁 No.1500 雑所得|国税庁(雑所得の定義や計算方法について解説) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
- 治験における被験者負担軽減費に関する消費税の取り扱いについて – 国立病院機構(国立病院機構における消費税の取り扱い変更について) https://maizuru.hosp.go.jp/trial/pdf/013.pdf
治験・モニターの募集中案件
※案件情報は2026-03-05時点のものです。最新の募集状況は各案件ページでご確認ください。
